知財・特許業界で仕事をしたい人のための応援コラム

第11回 私の考える「キャリア・アップ」とは? -「スキル・アップ」に止まらないために-

 「知財情報局」の「転職メール相談」や、「転職サポートサービス」を利用されている方は、向上心が高く、キャリア・アップに対して熱意がある方ばかりです。例をあげると、「特許事務は一通り経験したので、次は商標スタッフとして活躍したい。」、「国内企業の特許明細書作成は5年経験したので、外国企業を顧客とする特許事務所に移りたい。」、「企業の研究開発部門に在籍しているが、本格的に弁理士資格の取得を目指したいので、特許事務所に移りたい。」など、その目的も様々です。キャリア・アップは、「職務上で必要な技能を向上させる。」という意味では、「スキル・アップ」と言い換えて使うこともあります。特に、特許業界は、高度な専門知識と実務能力が求められる業界です。しかし、特許業界での「キャリア・アップ」は、はたして「スキル」の向上だけで実現するのでしょうか。

 ここで、「キャリア」という言葉の意味を、改めて考えてみました。一般に「キャリア」という言葉は、「職業上の経歴」という意味合いで使われることが多いようです。しかし、それ以上にもっと深い意味合いを持った言葉だと、私は考えています。
第一に、「キャリア」は、個人の価値観、考え方を反映したものであるべきだということです。すべての人には職業選択の自由が認められています。自分の力を最大限に発揮できる環境を優先するのか、より多くの収入を目指すのか、独立にこだわるのか。職業の選択は、自身の責任と判断で決めるものであり、それらに対する価値観を誰からも強制されることはありません。したがって、特許業界でも同様に、高度な専門知識と実務能力の習得はもちろん、自身の価値観を具現化するような「キャリア」を形成していただきたいと考えています。

 第二に、「キャリア」は周囲の協力と信頼関係があって形成されていくものだということです。より高く積み上げようと思ったら、土台は幅広く強固にしなければなりません。その土台を幅広く強固にするために必要なのが、上司や同僚などとの協調・信頼関係なのです。例えば、特許事務所の技術スタッフが、弁理士試験に合格したケースを考えてみましょう。弁理士試験の合格により、確かにその方は大きなステップを踏み出したと言えます。しかし実際には、その方の努力の一方で、残業をあまりさせない上司の配慮とか、仕事をバックアップする同僚の配慮などもあるかと思います。つまり、弁理士資格取得自体は個人の「スキル・アップ」に止まるものであり、その特許事務所のために弁理士資格を役立てた時初めて「キャリア・アップ」として昇華し、本人のキャリアが形成されたと言えると私は考えます。

 当社の転職サポートサービスでも、こうした観点から皆さんの「キャリア・アップ」を支援しています。まずはメールを通じて、相談者の周囲の環境をしっかりと整理して、将来の方向性について助言します。その過程で、「キャリア・アップ」を実現するような具体的な転職先をご紹介しています。

 今回は、「キャリア・アップとは何か」をテーマに、私なり考えを提起してみました。特許業界での活躍を目指す皆さんも、「スキル・アップ」のみに走るのでなく、自分の価値観を大切にし、周囲の協力を得ながら「キャリア・アップ」を目指していただきたいと思います。そして、数多くの方々との信頼関係を構築してください。

[2006/11/27] 知財ナビより転載

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