知財・特許業界で仕事をしたい人のための応援コラム

第13回 知財業界で進む雇用形態の多様化 派遣社員としても活躍の場

 知財情報局の「特許キャリア相談」では、特許事務所や企業の知的財産部、さらには産学連携機関などで特許事務ないし商標事務に従事する職員の方から、数多くの相談が寄せられます。最近では、派遣社員やパートなど、いわゆる非正社員、非正規職員として従事する方からの相談が増えてきました。多くは20〜30歳代の比較的若い方々です。職種を問わず、知財業界でも派遣社員やパートなどといった雇用形態が増加しつつあることを実感します。現在、国内産業全般において増加の一途をたどっている派遣社員に関して言うと、その処遇についてはあまり良い話は聞きません。彼らとしては、やはり現職が正社員、正規職員ではないがゆえに、保険の手当てや不安定な収入など生活面に不安を感じたり、職務範囲が狭く仕事のやりがいに限界を感じたりしている場合が多いようです。しかし、非正社員や非正規職員という立場を利用して、知財業界で自身の実務経験を蓄積していき、その後に正社員を目指していくのも、1つの方法だと私は考えています。

 本来、派遣社員を雇用する場合、企業内の事業推進やプロジェクト推進に伴い、優れた専門知識または特殊なスキルを持った人材を、必要に応じて補強するケースが一般的です。知財業界の場合、同じ「実務」でも、英語など一般教養や技術内容に対する理解などがあれば担当できる業務と、知的財産に関する法律知識が欠かせないより専門的な業務の双方があります。
 前者の場合、特許管理情報をデータベースに入力したり、海外のクライアントに対して英文レターを作成したり、英文翻訳を行ったりなど、専門スキルをベースに正確性とスピードが求められる作業が主であり、派遣社員でも比較的活躍しやすい職場であるとも言えます。(もちろん、特許明細書の作成は弁理士がなすべき業務ですから、その業務を派遣社員が行うことはできません。)後者については、単に書籍で学ぶだけでは不十分です。法律に基づいた特許関係の手続の期限管理や、特許調査などの実務を通じて、時間をかけて経験的に学んでいかなければならないものです。したがって、これらの業務は、正社員として長期に担当してもらうのが原則となり、業界未経験の派遣社員に担当していただくのは容易ではありません。
 そこで、何らかの形で知財業界で働いてみたい方は、法律知識を主体とした業務を最初から希望するのではなく、まずは各種基本ソフトを使いこなせる程度のITスキルや、現地の人が読んでも違和感のない英文をすばやく作成できるような英語スキルなどを磨いた上で、仮に派遣社員やパートという形態の採用募集であっても、積極的に勤務を希望することが大切になると考えられます。勤務後は、実務担当者、弁理士などの経験豊富な人たちと蜜にコミュニケーションをとることで、実務に必要な知識も少しずつ習得し、信頼関係を構築すれば、派遣社員以上の業務を担当できるようになると思います。そうすれば、実務も担当できる正社員への道も開かれることになるでしょう。

 確かに、派遣や契約社員等の場合、生活が不安定であるとか、キャリア形成での不安もあるかもしれません。最も重要なことは、本当に知財業界で働いてみたいのであれば、とにかくまず1つでも実務経験を積むことであり、知財業界で第1歩を踏み出す勇気を持つことだと思います。極めて限られた業務範囲であっても、極めていけば次のステップが見えてきます。当社は、現在、派遣の支援は行っておりませんが、このような派遣で経験を積んだ方に対して、「転職サポートサービス」において、正社員に向けて新たな活躍の場を紹介することも可能となります。

[2007/03/26] 知財ナビより転載

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