知財・特許業界で仕事をしたい人のための応援コラム

第15回 企業における知的財産戦略の推進と人材の採用

 私どもブライナは、平成14年4月の創業以来、企業の知財部に対して知的財産に関する様々なコンサルティングを行ってまいりました。今回は、企業経営者の方を対象に、企業の知財戦略の推進方法についてお話ししたいと思います。
 私どもにコンサルティングの依頼をする企業は、概ね以下のような共通点があります。

(1) 技術的に卓越した優位性を持つメーカーで、従業員数が100人〜200人前後の成長志向の企業。
(2) 企業のトップは自ら研究開発の先頭に立って指揮することが多く、知的財産の価値も十分に認識している。

しかし、知的財産に関する業務を専門的・継続的に行う部署がなく、人材も限られている。

 つまり、知財部がまだ専門組織として力不足の状態で、人材のスキル面でも多少心配を持っている企業です。
 コンサルティングの際、私どもでは、クライアントごとにメンバーを編成します。まず、企業トップ及び従業員から入念なヒアリングを行い、経営計画書や過去の特許出願に関する資料を閲覧・分析します。さらに、製品の開発・製造現場を視察して、知的財産に関する診断を行い、支援策を明確にしていきます。その中には、知財部や研究開発部門の組織的活動に関するルール作り、知財担当者や技術者の知財面のスキルアップ支援なども含まれています。人材育成については、例えば、知的財産に関する業務で必要なスキルを以下のとおり分類・チェックすると好都合なことがわかっています。

(1)特許明細書を「読める」というスキル
(2)特許明細書を「書ける」というスキル
(3)特許明細書を「探せる」というスキル
(4)特許明細書の手続き面を「管理できる」というスキル

 知的財産分野で実務経験を積んだ方であれば、自分が経験した業務ないし得意とする業務がどれに該当するか確認いただくと、今後のキャリアプランが少し明確になってくると思います。

 一方で、私どもはこうしたコンサルティング業務の経験を踏まえて、昨年から知的財産分野のキャリア支援および職業紹介事業をスタートさせました。なぜか。それは、知財活動の強化と人材の登用・育成は切り離せない関係にあると考えているからです。現在では、本サービスを特許事務所や大企業の知的財産部だけではなく、コンテンツ・ソフトを扱う新興企業の知的財産部にも活用していただいています。

 私どもの知財コンサルティング・サービスの主な対象はは、知財部が比較的力不足の企業です。すでに何らかの形で知的財産に関する業務を専門とする部署、人材が存在してはいるが、「点(個人)」のスキルで知財活動を行っているところです。企業として知財活動を推進するには、調査担当・管理担当・リエゾン担当などの複数の人間が関与する「線/面(組織的)」の知財活動に切り替えていく必要があります。研究開発、事業が拡大し、知財業務も多岐にわたると、既存のメンバーだけでは業務をとても処理しきれません。
 それを実行するには、まずルール作りなど基盤構築とリーダーの育成が重要になります。知財活動の基盤さえ構築すれば、知財活動が線として組織的に機能するようになります。毎年、数十件の特許出願を行い、特許権等の知的財産をコツコツと積み上げていく段階に入ります。組織的な業務量も増え、リーダーを中心に最適な人材をタイムリーに補充していくための施策も重要になります。

 しかし、われわれの経験上、大小規模に関係なく、既存組織には上司・部下の上限関係など様々な人間関係、軋轢などもあり、1人や2人のリーダーを中心に新たなプロジェクトを推進しても、上手く機能しないケースが数多くあります。中小・ベンチャー企業の場合、1人2役、3役といった他の業務を兼ねている場合も多いため、得てして他の業務が優先されて、スケジュール通りに進まないケースもよく目にしてきました。そのような場合は、われわれのような外部の知財コンサル会社の活用は有効です。知財戦略を推進するリーダーの育成と組織化を全面的にサポートします。知財戦略と人材戦略は同時に進んでいく場合が多く、車の両輪のように同時に準備していくことが大切だと思います。

[2007/06/25] 知財ナビより転載

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