知財・特許業界で仕事をしたい人のための応援コラム

第17回 「技術ノウハウ管理・知財戦略セミナー」を初めて開催して

 先日、ジェトロ(日本貿易振興機構)埼玉とともに、「技術ノウハウ管理と知財戦略セミナー/グローバル競争に打ち勝つために」と題するセミナーを開催させていただきました。内容は、企業内でのノウハウ管理体制の構築、海外知財戦略などについてお話させていただきました。3時間という長丁場でしたが、多数の企業様に積極的にご参加いただき、中小・ベンチャー企業の知財・ノウハウ管理に対する意識の高さを実感しました。当日の講演内容の要約すると下記のようなものになります。

1. 知的財産は「特許だけ」と思い込まない

 “知財戦略”とは、様々な知的財産を様々な法律や制度を活用して権利として守り、活用していくことです。したがって、特許だけに視野を狭めないで、意匠、商標、ノウハウ等も有効活用するべきです。

2. ノウハウ管理を徹底する

 知財戦略の手段の1つに「ノウハウ戦略」があります。いわゆる「ブラックボックス化戦略」等もこれにあたります。権利化と一定期間の利益独占と引き換えに技術情報を公開するのではなく、当該事業における重要性を戦略的に考慮して、敢えて社外に対して非公開の機密情報として管理する選択肢です。このノウハウ戦略を選択する場合は、当然それなりの管理体制を構築しなければなりません。ただし、社員個人、組織に対してノウハウ管理のルールを短期間で徹底させるような仕組みを導入ことはとても難しいものです。

3. 共同研究のチャンスを活かす

 産学連携等を含めて、共同研究によって製品開発をする企業が増えてきています。しかし、共同研究は両者の権利範囲をめぐるトラブルが多いのも実情です。したがって、共同研究に取り組む際はあらかじめ、それを管理する社内体制作り、契約等について当社のコンサルティング経験を含めてお話ししました。特に、共同研究において創出された発明の取り扱いについては注意しなければなりません。

4. 海外戦略を低コストにするコツ

 特に海外で積極的に事業を広げようとしている企業にとっては、海外での知財の権利化に掛かる費用を削減することがなかなか難しいのが実情でしょう。しかし、海外の特許調査に関しては、外部に委託するのではなく自ら実行すれば低コストとなります。そこで、今回のセミナーでは米国の特許調査を低コストで行う方法の一例として、無料インターネットサイト(米国のGoogle Patent Search など)の利用や、高精度の機械翻訳を利用した方法等を紹介させていただきました。

 セミナー終了時の質疑応答では、とても多くの質問を受けましたが、最も多かった質問はノウハウ管理です。ノウハウ戦略は、他者に気付かれないように行動することができるため、弱者であるベンチャー企業・中堅企業等にとってはとても強力な武器になります。しかし、具体的にしっかりとしたノウハウ管理ができていないのが実情のようです。権利として法律的に守られていない分、一旦、流出すると会社の存亡も危ぶまれる取り返しがつかない選択肢でもあり、ライバル他社が権利化戦略を採用してきた場合の対処への準備も必要です。この点については、やはりノウハウ管理を担う法律部門、技術管理部門、知的財産部門等の人材が社内に必要になります。知財に関するコンサルティングから人材紹介までさせていただいている当社としても、ノウハウ管理スキルを有する優秀な人材を育成・紹介し、皆様の知財力アップに貢献できればと考えています。

[2007/11/12] 知財ナビより転載

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