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【第7回】知財の分野は,豊富な知識と経験がモノを言う−中高年の方の活躍に期待−

 前回のコラムでは,学生から寄せられる相談内容をもとに,卒業後に展開できる様々なキャリア・プランについてお話しをしました。今回は,年齢,実務経験を見てもその対極にある,「中高年」の方からの相談内容をもとに,お話ししましょう。対象年齢としては40歳代半ば以上の方を想定しています。

専門人材が多くない知財分野こそ,ベテランの力が必要

 「中高年」というと,一見,働き手としてピークを過ぎ,雇用側でも好印象を受けない方がいるかもしれませんが,私はこのことが大変残念でなりません。彼らは,仕事を通じて貴重な経験を積んでいます。特に,専門人材が多いとは言えないこの知的財産の世界でも,企業や特許事務所などでの長年にわたる知財実務経験,研究開発経験,蓄積された専門知識は貴重な戦力であることは間違いなく,それを生かす機会がもっと沢山あって良いはずです。

 中高年の方からの相談によると,そのきっかけは,会社でリストラにあった方から知財に対して新たに興味を持った方まで様々です。ただ,彼らに共通しているのは,知財分野の仕事に対して「静かな情熱」を抱いていることです。つまり,不運な現状を嘆くのではなく,それをバネに新たな活躍の場へ目を向ける意欲がみなぎっているということです。若年層の雇用機会の創出を妨げることなく,こうした意欲と経験を持ち合わせる方々を積極的に生かしていくことが,今後の日本経済にとっての命題でしょう。将来の「知財立国」を担うのは若手人材かもしれませんが,彼らを育成できるのはベテランの方々であり,このような役割も踏まえて,経験者の再配置が重要だと考えます。

経験と知識がモノを言う特許業界

 今回は,「中高年」というくくりでお話ししていますが,中高年に共通した明確なキャリアパスというものはもちろんありません。20代30代と比べて,これまでの職務経験や専門分野が,1人1人,年を重ねるごとに大きく異なっていくるからです。特に,この域に達すると,仕事上で自分がやりたいこと,もうやりたくないことを,きちんと認識しており,仕事に対する自信と確固たる価値観を持っています。埋もれているそうした付加価値の高い人材を雇用主へ橋渡し,双方がハッピーになることが,我々の行っている「知財転職サポート」の使命でもあります。

 この世代の方が特許業界への転進を考える場合,やはり研究開発経験と技術的なバックグラウンドは欠かせません。そのような素養を持っている方は,当然若者以上に経験が豊富な上,技術分野の専門性が研ぎ澄まされている分,即戦力として十分期待できるでしょう。特許という専門業界ですでに十分なスキルを保有している方々であれば,さらに転職の可能性は高くなります。弁理士資格や,特許明細書作成実務などです。
 特許事務所の公開されている求人情報を見ると,「55歳まで」という他の業界ではあまり見られない採用条件も見かけます。つまり,特許業界での中高年の転職は,豊富な実務経験または専門的な技術知識,新しい環境に溶け込めるコミュニケーション能力次第とも言えます。もっと率直に特許事務所の経営者の立場から述べると,結果的に収益獲得に直接結びつく経験やノウハウを持っているか否かで判断します。もちろん,企業の知財部や特許事務所にも事情があります。大手になればなるほど,組織を有機的に動かすために構成員の年齢と経験のバランスを考慮した上で,人材の配置,能力評価と報酬,雇用形態を設定しなくてはならないので,採用活動もその分シビアになります。逆に小さな規模であれば複雑な社内ルールに左右されない分,実力さえあればすぐにでも発揮できる場が用意されるでしょう。

実務経験が無い方も,マネジメントやコンサル業務に生かして

 中高年の域になると,経営やマネジメントの立場で仕事に携わっている方も多いかと思います。そこで,できる範囲内で,新たに知的財産というスパイスを自社の経営戦略や事業戦略,あるいは研究開発戦略に付加するような活動を自ら推進・啓蒙していくのも1つのキャリアアップです。クライアントへのコンサルティング業務についても同様に新たな武器として生かすことはできるかと思います。国が進めている知的財産推進計画についても,知財人材という定義の中に,知的財産を意識した経営を行える人材層が含まれています。つまり,キャリアアップを特許業界という専門的な枠だけ考えずに,広く,知的財産を意識した活動を展開できるような目標を掲げることも,素晴らしいキャリアアップだと思います。7 団塊世代の大量退職という,いわゆる「2007年問題」が間近に迫っていますが,知財分野でも同様です。知財戦略を重視する企業はなおさらです。実際,「知財業界のベテランで,アルバイトやパート形態で,特許調査や特許戦略をサポートしてほしい」というニーズが出てきています。こうした定年後でもバリバリ働けるエキスパートをいかに確保し,活用していくことこそ,知的財産関連サービスを提供する特許事務所,知的財産を生かして成長を目指す企業の課題だと考えます。

[2006/06/29] 知財ナビより転載

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