「知財戦略」と「産業財産権」のよくあるご質問をQ&Aにてご紹介

産業財産権Q&A

産業財産権についてのよくあるご質問になります。該当項目をクリックし、回答を閲覧下さい。

  1. Q.1 産業財産権とはどの様なものですか?
  2. Q.2 特許権とはどの様なものですか?
  3. Q.3 実用新案権とはどの様なものですか?
  4. Q.4 意匠権とはどの様なものですか?
  5. Q.5 商標権とはどの様なものですか?
  6. Q.6 著作権とはどの様なものですか?
  7. Q.7 特許の対象となる発明とは?
  8. Q.8 実用新案登録の対象となる考案とは?
  9. Q.9 意匠登録の対象となる意匠とは?
  10. Q.10 商標登録の対象となる商標とは?
  11. Q.11 著作権の対象となる著作物とは?
  12. Q.12 特許権と実用新案権の違いは何ですか?
  13. Q.13 出願から登録までにどの様な手続きが必要ですか?
  14. Q.14 出願公開とはどの様なものですか?
  15. Q.15 審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
  16. Q.16 特許出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
  17. Q.17 意匠登録出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
  18. Q.18 商標登録出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
  19. Q.19 出願前に発明の内容を学会等で発表するとどうなりますか?
  20. Q.20 海外で特許を取得するには、どの様な方法がありますか?
  21. Q.21 産業財産権の取得には、どの位のお金がかかりますか?
  22. Q.22 産業財産権を取得するとどの様なメリットがありますか?
  23. Q.23 産業財産権を侵害するとは、どういう事ですか?
  24. Q.24 他人が自分の産業財産権を侵害している場合、どの様な措置をとれますか?
  25. Q.25 他人から産業財産権を侵害していると警告を受けた場合、どの様な措置をとれますか?
  26. Q.26 産業財産権の存続期間が満了した後はどうなりますか?
Q1. 産業財産権とはどの様なものですか?
[A1]
産業財産権とは、主に特許権、実用新案権、意匠権、商標権の事です。
従来は、「工業所有権」という用語が使われていましたが、2002年の政府の知的財産戦略大綱の中で、「産業財産権」という用語に統一する事が決定されました。

尚、この産業財産権に著作権と、その他の権利(半導体回路配置利用権、植物新品種、不正競争防止法上の権利等)を加えたものを一般に知的財産権と呼びます。

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Q2. 特許権とはどの様なものですか?
[A2]
特許権とは、新しい発明をした人に、その発明を公開する事の代償として出願から20年間の独占排他権を与えるものです。 すなわち、特許権が設定登録されると、設定登録された日から特許権が発生し、出願の日から20年目の日まで存続します。 そして、その間は特許権者だけがその発明品を製造したり、販売したりする事が出来ます。 特許権者以外の人が勝手にその発明品を製造して販売する事は許されず、刑事上、民事上の責任が問われる事になります。
尚、特許権の設定には特許庁の審査が必要です。

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Q3. 実用新案権とはどの様なものですか?
[A3]
実用新案権とは、新しい考案をした人に、その考案を公開することの代償として出願から10年間の独占排他権を与えるものです。 すなわち、実用新案権が設定登録されると、設定登録された日から実用新案権が発生し、出願の日から10年目の日まで存続します。 そして、その間は実用新案権者だけがその発明品を製造したり、販売したりする事が出来ます。
実用新案権者以外の人が勝手にその考案品を製造して販売する事は許されず、刑事上、民事上の責任が問われる事になります。 実用新案権は、特許発明よりもライフサイクルの短いアイディアに対して早期に権利を付与し、的確に保護する事を狙っています。 このため、審査を行わず、発明より少し簡単な考案を対象としています。
また、実用新案権の対象となる考案は物品の形状、構造または組合せに係るものに限定されます。

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Q4. 意匠権とはどの様なものですか?
[A4]
意匠権とは、新しい意匠(工業製品のデザイン)を創作した人に、意匠権の設定登録の日から20年間の独占排他権を与えるものです。 すなわち、意匠権が設定登録されると、設定登録された日に意匠権が発生し、設定登録の日から20年目の日まで存続します。 そして、その間は意匠権者だけがその意匠の製品を製造したり、販売したりする事が出来ます。 意匠権者以外の人が勝手にその意匠の製品を製造して販売することは許されず、刑事上、民事上の責任が問われる事になります。
また、意匠権の範囲は、類似する意匠にまで及びますので、意匠権者以外の人は、全く同じ意匠の製品だけでなく、類似する意匠の製品も製造したり、販売したりする事は出来ません。尚、意匠権の設定には特許庁の審査が必要です。

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Q5. 商標権とはどの様なものですか?
[A5]
商標権とは、指定した商品または役務(サービス)について、自ら使用する商標について商標登録出願をした人に、商標権の選定登録の日から10年間の独占排他権を与えるものです。
存続期間は10年となっていますが、10年毎に更新登録をする事が出来るので、半永久的にその商標の使用を独占する事が出来ます。 この商標登録出願をする事が出来る商標は、既に自らの業務について使用している商標または使用する予定がある商標に限られます。 尚、商標権の設定には特許庁の審査が必要です。

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Q6. 著作権とはどの様なものですか?
[A6]
著作権とは、文芸、学術、美術、音楽などの文化的な著作物を創作した人(著作者)が、独占排他権による保護を受けられるもので、その権利は、原則的に、創作物を創作した日から著作者の死後50年まで存続します。すなわち、著作権者以外の人は、勝手にその著作物を公表、複製、上演等する事や、著作物の複製物を譲渡、貸与等する事は許されず、刑事上、民事上の責任が問われる事になります。尚、特許権等と違い、著作権の発生には設定登録を必要としません。因みに、この文章についても著作権が発生しています。

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Q7. 特許の対象となる発明とは?
[A7]
発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と、特許法において定義されています。
「自然法則を利用した」とあるので、物理的や化学的な現象を利用したものでなければ発明に該当しません。
例えば、数学の解法やゲームのルール等は特許法上の発明には該当しません。 また、「技術的思想の創作」とは簡単にいうとアイディアの事です。 ですから、特許法上の発明は、何らかの形を有する「物」の発明だけでは無く、「〜する方法」といった「方法」の発明やプログラム等の形を持たない「物」の発明も含まれます。
「高度のもの」というのは、単に実用新案における「考案」と区別する為に付けられたもので、大きな意味は無く、高度な理論を駆使した発明でなければ特許を取得出来ないといった事は全くありません。

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Q8. 実用新案登録の対象となる考案とは?
[A8]
考案とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作」と、実用新案法において定義されています。
発明の定義に出てくる「高度のもの」という部分がないので、発明よりも比較的簡単なものが考案であると言えるかと思いますが、実際には発明と考案とでそれほど高度性に差があるわけではありませんし、明確な境界線があるわけでもありません。
尚、実用新案権を取得する事が出来るのは、「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」に限られます。 すなわち、何らかの形を有する「物品」の考案に限られ、「方法」の考案は実用新案権を取得する事が出来ません。

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Q9. 意匠登録の対象となる意匠とは?
[A9]
意匠とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と、意匠法において定義されています。 簡単に言えば自動車や携帯電話等のデザインの事です。
最初に「物品の」とあるので、意匠は、何らかの形を有する「物品」のデザインでなければなりません。
例えば、「唐草模様」は意匠とはいえませんが、「風呂敷に唐草模様を付したもの」であれば、形を有するので意匠と言えます。 また、「視覚を通じて」とあるので、意匠は、外から目に見えるものでなければなりません。
ですから、機械内部のデザインやあまりに小さくて肉眼で見る事の出来ないデザインは原則として意匠には該当しません。 最後に「美感を起こさせるもの」とありますが、これは、意匠とは何らかの美感を生ずるものであれば良いという事です。 意匠に芸術作品のような高尚な美を要求されるという事は全くありません。

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Q10. 商標登録の対象となる商標とは?
[A10]
商標とは、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合であって、
(1)業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの、
(2)業として役務(サービス)を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」と、商標法において定義されています。
具体的な例を挙げると「トヨタ」もしくは「TOYOTA」等の社名を表す「文字」、「カローラ」等の商品名を表す「文字」、またはトヨタ車のノーズに付された楕円を組み合わせたエンブレム等の「図形」、等が商標に該当します。また、「立体的形状」も商標と認められるので、街でよく見かけるカーネルサンダースの像も商標といえます。尚、(1)と(2)の限定がありますので、何らかの業務について使用をするものでなければ商標法上の商標とは言えず、個人的にのみ使用する様なものは商標権を取得する事は出来ません。

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Q11. 著作権の対象となる著作物とは?
[A11]
著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」と、著作権法において定義されています。
具体的には、小説、楽曲、舞踊、絵画、建築物、地図、映画、写真、プログラム等が挙げられます。
「思想又は感情を創作的に表現したもの」とありますので、アイディアは著作物とはならず、アイディアを文章、図画または楽曲等の形で表現したものが著作物となります。

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Q12. 特許権と実用新案権の違いは何ですか?
[A12]
「発明」と「考案」はどちらも「技術的思想の創作」なので、特許権も実用新案権も同じものを対象としています。
ですから、何か新しいアイディアを思いついた人は、特許権と実用新案権のどちらも取得可能な場合があります。

特許権と実用新案権の違いは、先ず存続期間にあります。 特許権は出願の日から20年ですが、実用新案権はその半分の10年です。 次に、実用新案権は形を有する「物品」についてのものに限られるので、「方法」についてのアイディアは実用新案権を取得出来ません。

そして、最も大きな違いは、特許権の取得には新規性や進歩性といった実体的要件の審査が必要ですが、実用新案権の取得には実体的要件の審査を必要とせず、出願をすれば原則的にそのまま登録されるという事です。
この為、特許出願は、審査に数年を要する場合があり、登録まで長い期間を要するのに対し、実用新案登録出願は出願から数ヶ月という短期間で登録されます。

この様に、実用新案権は、出願後直ぐに登録されますが、実用新案権の行使には制限が加えられている事に注意しなければなりません。 特許権は、特許庁が審査を行ったうえで登録されるという事で、いわば特許庁のお墨付きを貰った様なものですから、他人が勝手にその特許された発明を実施(特許権を侵害)している場合には無条件でその行為を止めさせたり(差止請求)、損害賠償を請求したりする事が出来ます。

それに対して、実用新案権は審査を行っていませんから、他人がその実用新案権を侵害している場合でも、すぐにその差止請求や損害賠償請求をする事が出来ません。差止請求や損害賠償請求をするには、特許庁に対して「実用新案技術評価」を請求し、「実用新案技術評価書」を提示した上でする必要があります。この「実用新案技術評価」とは、事後的に実用新案登録について簡易な審査を行うものです。

更に、実用新案権者が侵害者に対して警告、差止請求または損害賠償請求をした後に、その実用新案登録が無効とされた様な場合は、逆に実用新案権者が、相手方に与えた損害を賠償する責任を負う事になります。

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Q13. 出願から登録までにどの様な手続きが必要ですか?
[A13]
出願から登録までの手続きの簡単な流れは以下の様なものです。

特許出願
  出願人       特許庁
  出願 →                (願書と必要な書類を提出します)
  ↓         方式審査      (出願手続が適法か審査します)
  出願公開の請求 →  ↓        (早期に公開したい場合に行います)
  ↓         出願公開      (出願から1年6月後に必ず行います)
  出願審査の請求 →  ↓        (出願から3年以内に必ず行います)
  ↓         実体審査      (新規性等の特許要件を審査します)
  ↓          ↓
  ↓       ← 拒絶理由の通知   (審査において拒絶理由が発見された場合)
  補正、意見書 →   ↓        (拒絶理由を回避するための手段)
  ↓       ← 特許査定      (拒絶査定となる場合もあります)
  特許料の納付 →   ↓        (1〜3年分を最初に納付します)
          ← 特許権の設定の登録 (特許原簿に登録されます)

実用新案登録出願
  出願人       特許庁
  出願 →                (最初の登録料も同時に納付します)
  ↓        方式審査および    (出願手続が適法か審査します)
  ↓        基礎的要件の審査   (基礎的な要件について審査します)
  ↓          ↓
        ← 実用新案権の設定の登録 (実用新案原簿に登録されます)

意匠登録出願
  出願人       特許庁
  出願 →                (願書と必要な書類を提出します)
  ↓         方式審査      (出願手続が適法か審査します)
  ↓          ↓
  ↓         実体審査      (新規性等の登録要件を審査します)
  ↓          ↓
  ↓       ← 拒絶理由の通知   (審査において拒絶理由が発見された場合)
  補正、意見書 →   ↓        (拒絶理由を回避するための手段)
  ↓       ← 登録査定      (拒絶査定となる場合もあります)
  登録料の納付 →   ↓        (1年分を最初に納付します)
          ← 意匠権の設定の登録 (意匠原簿に登録されます)

商標登録出願
  出願人       特許庁
  出願 →                (願書と必要な書類を提出します)
  ↓         方式審査      (出願手続が適法か審査します)
  ↓          ↓
  ↓         出願公開      (出願後に必ず行います)
  ↓          ↓
  ↓         実体審査      (自他識別力等の登録要件を審査します)
  ↓          ↓
  ↓       ← 拒絶理由の通知   (審査において拒絶理由が発見された場合)
  補正、意見書 →   ↓        (拒絶理由を回避するための手段)
  ↓       ← 登録査定      (拒絶査定となる場合もあります)
  登録料の納付 →   ↓        (10または5年分を最初に納付します)
          ← 商標権の設定の登録 (商標原簿に登録されます)

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Q14. 出願公開とはどの様なものですか?
[A14]
出願公開とは、どの様な出願がされたかを、特許庁が社会一般に対して公表するもので、出願の内容全てを掲載した公開公報というものが発行されます。 この出願公開が行われるのは、特許出願及び商標登録出願のみで、特許出願は出願の日から1年6月経過後、商標登録出願は出願後、速やかに出願公開されます。
特許庁HP等で公開公報を調べる事で、例えばライバル他社がどの様な出願をしているかといった事を調べたり、技術情報として活用したりする事が出来ます。
また、特許出願の場合、出願公開がされると、その発明はもはや新規なものではない、とみなされます。 この為、出願公開後に他の人が同一の発明について特許出願をしても、それは新規性を有さないとして、特許を受ける事が出来ません。

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Q15. 審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
[A15]
特許庁で行う審査には、方式審査と実体審査の2種類があります。
方式審査とは、出願手続きが適法に行われたかどうかを審査するもので、提出書類に不備がないか、手数料の支払いが行われたかといったことを審査します。 実体審査とは、出願に係る発明、意匠または商標が、新規性や進歩性等の登録要件を満たすかどうかを審査します。

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Q16. 特許出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
[A16]
特許出願の実体審査においては、出願された発明について、以下の特許要件を審査します。

(1)産業上利用可能性
産業上利用出来ない発明は、特許を受ける事が出来ません。 例えば、「喫煙方法」等の様に、個人的にのみ利用される発明は、特許を受ける事が出来ません。 また、医療業は産業とはみなされていませんので、人間を手術、治療または診断する方法は特許を受ける事が出来ません。

(2)新規性
日本国内または外国において、公然知られた発明、公然実施された発明、刊行物やインターネット上で発表された発明は特許を受ける事が出来ません。 すなわち、既に世の中に知られてしまっている発明は、新規性を有しないとして、特許を受ける事が出来ません。 自分の発明が世の中に知られてしまった場合も、新規性を喪失しますので、特許出願前には、発明の内容を秘密状態にしておく事が必要です。

(3)進歩性
既に世の中に知られている発明を基に、容易に発明をする事が出来る発明は、進歩性を有さないとして、特許を受ける事が出来ません。 例えば、従来ある発明を単に設計変更しただけの発明や、従来ある発明に最適材料を適用しただけの発明等は特許を受ける事が出来ません。

(4)先後願
先に特許出願または実用新案登録出願されている発明または考案(先願発明、先願考案)と、同一の発明は、特許を受ける事が出来ません。 但し、先の出願が、放棄、取り下げ、却下または拒絶されている場合は、先願発明または先願考案とはみなされません。

(5)拡大先願
先にされた特許出願であって出願公開もしくは特許掲載公報の発行がされたもの、または先にされた実用新案登録出願であって実用新案掲載公報の発行がされたもの、の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲または図面に記載された発明と同一の発明は、特許を受ける事が出来ません。

(6)公序良俗
公の秩序、善良の風俗または公衆の衛生を害する恐れのある発明は特許を受ける事が出来ません。 例えば、「紙幣偽造装置」といったものは特許を受ける事が出来ません。

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Q17. 意匠登録出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
[A17]
意匠登録出願の実体審査においては、出願された意匠について、以下の登録要件を審査します。

(1)工業上利用可能性
工業上利用できない意匠は、意匠登録を受けることができません。 ここで、「工業上利用」とは、その意匠に係る物品を工業的に量産できる事と解されています。
このため、画家が描いた絵画のような一品物の芸術作品は意匠登録を受ける事が出来ません。

(2)新規性
日本国内または外国において、公然知られた意匠、刊行物やインターネット上で発表された意匠、またはこれらに類似する意匠は意匠登録を受ける事が出来ません。 すなわち、既に世の中に知られてしまっている意匠は、新規性を有しないとして、意匠登録を受ける事が出来ません。 自分の創作した意匠が世の中に知られてしまった場合も、新規性を喪失しますので、意匠登録出願前には、意匠の内容を秘密状態にしておく事が必要です。

(3)創作非容易性
既に世の中に知られている形状、模様、色彩またはこれらの結合を基に、容易に創作する事が出来る意匠は、創作容易であるとして、意匠登録を受ける事が出来ません。例えば、従来ある意匠の構成要素の配置を変更しただけの意匠や、従来ある意匠を寄せ集めて構成しただけの意匠等は意匠登録を受ける事が出来ません。

(4)先後願
先に意匠登録出願されている意匠(先願意匠)と、同一または類似の意匠は、意匠登録を受ける事が出来ません。
但し、先の出願が、放棄、取り下げ、却下または拒絶されている場合は、先願意匠とはみなされません。

(5)拡大先願
先にされた他人の意匠登録出願であって意匠公報に掲載されたものの願書に添付された図面または写真等に現された意匠の一部と同一または類似の意匠は、意匠登録を受ける事が出来ません。

(6)公序良俗
公共の秩序または善良の風俗を害するおそれのある意匠は意匠登録を受ける事が出来ません。

(7)混同
他人の業務に係る物品と混同を生ずるおそれがある意匠は、意匠登録を受ける事が出来ません。

(8)機能を確保するために不可欠な形状
物品の機能を確保するために不可欠な形状のみからなる意匠は意匠登録を受ける事が出来ません。
ここで「形状のみ」には、形状に模様を結合させたものも含まれます。

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Q18. 商標登録出願の実体審査では、具体的にどの様な事を審査するのですか?
[A18]
商標登録出願の実体審査においては、出願された商標について、以下の登録要件を審査します。

(1)自己の業務に使用をするもの
出願に係る商標が、出願人の業務について使用しているもの、または使用する予定があるものでなければ商標登録を受ける事は出来ません。

(2)自他商品等識別力
以下の商標は、自他商品等識別能力がないとして商標登録を受ける事が出来ません。
・その商品等の普通名称を普通に用いられる方法で表示するもの
・その商品等について慣用されているもの
・その商品の産地、販売地、品質または原材料等を普通に用いられる方法で表示するもの
・ありふれた氏または名称を普通に用いられる方法で表示するもの
・きわめて簡単で、且つありふれたもの
・その他、需要者が何人かの業務に係る商品等である事を認識出来ないもの

(3)商標登録要件
以下の商標は、商標登録を受ける事が出来ません。
・国旗、菊花紋章、勲章、褒章、外国の国旗と同一または類似のもの
・パリ条約同盟国、WTO加盟国または商標法条約の締約国の紋章その他の記章であって
 経済産業大臣が指定するものと同一または類似のもの
・国際連合その他の国際機関の標章であって経済産業大臣が指定するものと同一または類似のもの
・赤十字に関する法律または武力攻撃事態等に関する法律に規定される標章と同一または類似のもの
・日本国、パリ条約同盟国、WTO加盟国または商標法条約締約国の政府または地方公共団体の監督用
 または証明用の印章または記号のうち経済産業大臣が指定するものと同一または類似な標章を有するもので
 あって、その印章または記号が用いられている商品等と同一または類似の商品等について使用をするもの
・国もしくは地方公共団体もしくはこれらの機関、公益に関する非営利団体、公益に関する非営利事業を表示する
 標章であって著名なものと同一または類似のもの
・公の秩序または善良の風俗を害するおそれのあるもの
・他人の肖像、他人の氏名もしくは名称、著名な雅号、著名な芸名、著名な筆名、またはこれらの著名な略称を含む
 ものであって、その他人の承諾を得ていないもの
・博覧会の賞と同一または類似の標章を有するもの(その賞を受けたものが商標の一部として使用する場合を除く)
・他人の業務に係る商品等を表示するものとして広く認識されている商標と同一または類似のものであって、
 同一または類似の商品等について使用をするもの
・他人の先願に係る登録商標と同一または類似であって、その指定商品等と同一または類似の商品等について使用をするもの
・他人の登録防護標章と同一であって、その指定商品等と同一の商品等について使用をするもの
・商標権が消滅した日から1年を経過していない他人の商標(消滅前に1年以上不使用だったものを除く)
 と同一または類似のものであって、その指定商品等と同一または類似の商品等について使用をするもの
・種苗法で品種登録を受けた品種の名称と同一または類似のものであって、その品種の種苗
 または類似の商品等について使用をするもの
・他人の業務に係る商品等と混同を生ずるおそれがあるもの
・商品の品質または役務の質の誤認を生ずるおそれのあるもの
・日本国またはWTO加盟国のぶどう酒または蒸留酒の産地を表示する標章のうち、
 他の産地のぶどう酒または蒸留酒について使用する事が禁止されているものであって、
 他の産地のぶどう酒または蒸留酒について使用をするもの
・商品またはその包装の形状であって、機能を確保するために不可欠な立体的形状のみからなるもの
・他人の業務に係る商品等を表示するものとして日本国内または外国で広く認識されている商標と同一
 または類似のものであって、不正の目的をもって使用をするもの

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Q19. 出願前に発明の内容を学会等で発表するとどうなりますか?
[A19]
特許出願前に発明の内容を学会等で発表すると、守秘義務を持たない人が、その発明について知る事になります。 すると、例え発明者が自ら発表したとしても、その発明はもはや新規性を喪失したとして、原則として特許を受ける事が出来なくなります。

しかし、それではあまりにも発明者や出願人に酷なので、特許法、実用新案法及び意匠法では救済規定として新規性喪失の例外の規定というものがあります。 出願の際にこの新規性喪失の例外の規定の適用を申請し、適用の要件が満たされていれば、発表した発明は、その出願については新規性を喪失していないとして取り扱われます。この要件とは、以下に示すものです。

(1)特許を受ける権利を有する者が発表した事
(2)以下に示すもののいずれかにおいて発表した事
・刊行物
・インターネット
・特許庁長官が指定する学術団体が開催する研究集会(文書をもって発表した事)
・政府等が開設する博覧会または政府等以外の者が開設する博覧会であって特許庁長官が指定するもの
・パリ条約同盟国またはWTO加盟国の領域内で政府等またはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会
・パリ条約同盟国またはWTO加盟国のいずれにも該当しない国の領域内で政府等またはその許可を受けた者が開設する国際的な博覧会であって特許庁長官が指定するもの
(3)発表した日から6月以内に出願した事
(4)新規性の喪失の例外の適用を受けたい旨を記載した書面を出願と同時に提出した事
(5)発表した発明が新規性の喪失を受けられるものである事を証明する書面を出願の日から30日以内に提出した事

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Q20. 海外で特許を取得するには、どの様な方法がありますか?
[A20]
特許権等の産業財産権は、国ごとに設定され、その設定された国内でのみ有効です。
ですから、外国で特許権を取得するには、原則として国毎に個別の出願をする必要があります。

日本の出願日の後、1年以内に外国で同じ内容の出願をする場合は、パリ条約に規定される優先権を適用する事が出来ます。 この優先権が適用されると、外国の出願について、日本の出願日に出願されたものとして外国での審査が行われます。

しかし、個別に出願をしていたのでは、何十カ国もの国に出願をする場合は、膨大な手間がかかる事になります。 このため、特許および実用新案については、特許協力条約(PCT)によって国際出願制度というものが、定められています。 国際出願によれば、1つの出願で、複数の国に出願したのと同じ効果が得られます。
但し、審査や登録は国毎に行われますので、個別に対応する必要があります。

また、国際出願においては、国際調査や国際予備審査という制度があり、国ごとの個別の審査の前に、特許性に関する見解を示してもらえます。

尚、商標は、マドリッド議定書に規定する国際登録を受ける事が出来ます。 これは、日本における商標登録を基に、他の複数の国における商標登録を、1つの国際登録として登録するものです。

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Q21. 産業財産権の取得には、どの位のお金がかかりますか?
[A21]
必要となる印紙代は特許庁のHPの産業財産権関係料金一覧で確認して下さい。
尚、手続きを弁理士等に依頼する場合は、印紙代に加えて代理人の費用が必要となります。

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Q22. 産業財産権を取得するとどの様なメリットがありますか?
[A22]
特許権、実用新案権、意匠権、商標権を取得すると、独占排他権が発生します。
これは、権利の対象となる発明、考案、意匠、商標は、権利者のみが実施(使用)する事が出来るという事です。
ここで、「実施」とは権利の対象となるものを、業として、使用、生産、販売、販売の申し出等をする事です。 (商標は「実施」ではなく「使用」という用語を使います)

簡単に言うと、産業財産権の対象となるものを使って商売をする事が出来るは、権利者のみという事です。

また、実施権(使用権)というものを許諾する事で、他人に実施(使用)させ、その対価を得る事が出来ます。
いわゆるライセンス契約によってライセンス料を徴収するという事です。

例えば、あなたがコンピュータのマウスを発明し、特許権を取得したとすると、日本国内ではあなただけがマウスを製造し販売する事が出来ます。
すなわち、あなたは日本国内でマウスを製造販売して得られる利益を独占出来るのです。 更に、マウスの需要が多くて製造が追いつかない場合には、他人とライセンス契約(実施許諾)をして、製造をさせる事も出来ます。
この場合、ライセンス契約した他人の売り上げのうち何パーセントかをライセンス料として得る事が出来ます。

商標権の場合は、製造販売の独占による利益の独占というよりも、粗悪なコピー品が出回ることによるブランドの信用力の低下を防止出来るという事が主なメリットになります。 使用許諾の場合は、フランチャイズチェーンの様に、ライセンス料を取って、信用力のあるブランドを他人に使用させるという形になります。

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Q23. 産業財産権を侵害するとは、どういう事ですか?
[A23]
特許権、実用新案権、意匠権、商標権の対象となる発明、考案、意匠、商標を、権利者以外の人が正当な権原なく実施(使用)すると、これらの権利を侵害する事になります。これら産業財産権を侵害すると刑事上および民事上の責任が問われます。

例えば特許権を侵害すると、10年以下の懲役または1000万円以下の罰金(併科される場合もあり)に処されます。 また、特許製品を製造販売して得た利益は全て特許権者の損害として損害賠償をしなければなりません。

この産業財産権の侵害は、積極的に模倣や盗用する意思がなく、たまたま偶然に産業財産権の対象となるものと同じであった場合にも、適用される事に注意する必要があります。ですから、新しく何か事業を始める際には、その事業の内容が他人の産業財産権の侵害となるかどうかを事前に確認すべきです。

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Q24. 他人が自分の産業財産権を侵害している場合、どの様な措置をとれますか?
[A24]
権利者は、自分の産業財産権を侵害している者に対して、差止請求、損害賠償請求および信用回復措置の請求をする事が出来ます。

差止請求とは、裁判所に差止請求訴訟を提起して、他人の侵害行為を止めさせる事です。 この差止請求に付帯して、侵害製品の廃棄や製造設備の除却を請求する事も出来ます。

損害賠償請求とは、裁判所に損害賠償請求訴訟を提起して、他人の侵害行為によって受けた損害の賠償を請求する事です。 民法上の損害賠償請求では、相手方に故意または過失があったことを立証する必要がありますが、産業財産権法上の損害賠償請求では、相手方に故意または過失があったものと推定されます。
また、産業財産権法においては、損害額の算定方法について、特別な規定があります。
尚、損害賠償請求の代わりに不当利得返還請求をする事も出来ます。

信用回復措置の請求とは、侵害により業務上の信用を害された場合に、業務上の信用を回復する為の措置(謝罪広告等)を相手方に請求する事です。

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Q25. 他人から産業財産権を侵害していると警告を受けた場合、どの様な措置をとれますか?
[A25]
先ずは、相手方の主張する内容をよく検討し、自分の行為が相手方の権利の侵害に該当するかどうかを判断しましょう。
侵害ではないと判断する場合には、その旨を相手方に返答するか、裁判所で主張する事が出来ます。 この主張には、自分の行為は相手方の権利範囲外であり、侵害ではない旨の主張(否認)と、自分の行為は相手方の権利範囲内であるが、先使用権等を有するため侵害とはならない旨の主張(抗弁)の2種類があります。 こちらの主張が認められれば、行為の差止や損害賠償をする必要はありません。

上記の否認や抗弁といった反論が出来ない場合は、損害賠償請求や差止請求を受け入れるしかありません。
しかし、設計変更等によって相手方の権利範囲外にすることが可能であれば、行為の差止は逃れる事が出来ます。また、相手方とライセンス契約を結ぶ事が可能な場合は、ライセンス料を支払う事で、行為の差止を逃れる事が出来ます。

この様に侵害の警告を受けた場合には、侵害となるかどうかの判断や、否認や抗弁の手法について等、専門的な知識が必要となりますので、弁理士等の専門家に相談する事をお勧めします。

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Q26. 産業財産権の存続期間が満了した後はどうなりますか?
[A26]
産業財産権の存続期間が満了した後は、その権利の対象となる発明等を、誰もが自由に実施する事が出来ます。
これは、例えば、特許法の第1条に、「この法律は、発明の保護及び利用を図る事により、発明を奨励し、もつて産業の発達に寄与することを目的とする。」とある様に、産業財産権法は、発明等を独占排他権により「保護」すると共に、権利の存続期間が満了後は誰もが「利用」出来る様にする事で、わが国の産業の発達に寄与する事を目的としているからです。

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