「知財戦略」と「産業財産権」のよくあるご質問をQ&Aにてご紹介

知財戦略Q&A

知財戦略についてのよくあるご質問になります。該当項目をクリックし、回答を閲覧下さい。

  1. Q.1 知財戦略とは何ですか?
  2. Q.2 事業戦略と知財戦略は、どの様な関連になるのですか?
  3. Q.3 知財戦略は、昨今は必須なのでしょうか?
  4. Q.4 特許出願を「戦略的」に実行するとはどういう意味ですか?
  5. Q.5 特許情報を経営に活かすには、何をしたらいいのですか?
  6. Q.6 知財戦略に取り組むにあたっての、注意事項は何ですか?
  7. Q.7 知財を管理するには、具体的にどうしたら良いのでしょうか?
  8. Q.8 パテントマップとは何ですか?
  9. Q.9 パテントマップは、どの様に利用したら良いのですか?
  10. Q.10 競合他社の動向分析に、特許を利用出来ますか?
  11. Q.11 知財戦略を実行する部隊(知財部)は、どの様に準備すれば良いのですか?
  12. Q.12 知財部の活動を教えて下さい。
  13. Q.13 知財戦略にて、経営者が実行するべき事柄を教えて下さい。
  14. Q.14 研究開発に着手する前に、やっておくべき知財活動を教えて下さい。
  15. Q.15 特許調査はどうやるのですか?
  16. Q.16 海外の特許出願はなぜ必要なのですか?
  17. Q.17 知的財産(知財)コンサルティングとは何でしょうか?
  18. Q.18 特許事務所に特許出願を依頼する前に準備すべき事項とは何でしょうか?
  19. Q.19 ノウハウは、どの様に活用したら良いのでしょうか?
Q1. 知財戦略とは何ですか?
[A1]
私達は、知財戦略を下記の様に整理しています。
「知財戦略」…事業経営)計画の一部に反映されている知的財産関係の基本方針で、例えば下記の様なものです。

・研究開発方針
・研究開発過程で生じた知的財産の保護に関する基本方針
・知的財産権の有効利用に関する基本方針

但し、この知財戦略を、具体的な行動に移す為には知財行動計画(知財戦術)が必要になります。
この知財行動計画と上記知財戦略を総称して「知財戦略」と定義される人も居る様です。
知財戦略はとてもシンプル且つ当たり前の事項になります。しかし、当たり前の事を確実に実行する事は案外難しいのです。 知財戦略を、組織的、計画的に行動に移していく事により、先の予測出来ない無計画な知財活動から、「将来予想の基づく戦略的な知財活動」に転換出来るのです。
「知財戦略」の意味は、「無計画な知財活動から、戦略的・計画的な知財活動への転換戦略」と考えてみるのは如何でしょうか。

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Q2. 事業戦略と知財戦略は、どの様な関連になるのですか?
[A2]
知財戦略は企業活動から独立して存在するものではありません。 事業計画の中に落としこまれている「知的財産に関連する基本計画」を意味します。 その点、明確に「知財戦略」という項目が事業計画中に存在する必要もありません。 実質的に、知的財産を意識した経営が出来ていれば良い訳です。事例を紹介しましょう。

事業計画の中には、必ず営業計画というものがあると思います。 そして、前年度に販売した製品の名称が、他社の商標権を侵害していて、争いになり、それが理由で販売台数が1割低下したとします。 そうすると、次年度の営業計画には、例えば下記の様な事項が挙げられる事でしょう。

(2006年度 営業計画)
新商品のブランドを守る姿勢を徹底する(知財戦略)。
具体的に新商品の名前を決定する際、企画会議で商標権を取得の必要性を議論し、且つ他社の先行商標権の調査を必ず行い、販売機会の損失を回避する(行動計画)。

これは既に立派な知財計画ですね。この様な方針が会社で決定された以上、「計画的に」その実行体制や業務ルールを整備する事になります。 これにより、この会社は知的財産戦略面で他社よりも一歩前進したわけです。
この様に、知的財産活動で他社より一歩リードし、利益率を向上させ、ステークホルダーに還元していく事が知的財産戦略の意義だと考えます。

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Q3. 知財戦略は、昨今は必須なのでしょうか?
[A3]
そうではありません。知財戦略は、事業計画を策定する際に知的財産をしっかりと意識・反映させる事です。 従って、「考え抜いた末に、我が社は知財戦略は不要である」という結論に至る事も十分に有り得ます。

しかし、ここで大切なのは、知的財産は意識した上での結論だという事です。 知的財産を「無視」した結果ではいけません。 無視すると、他人の知的財産を不正に盗用し、他社に迷惑を掛ける事もあります。 これは企業としてあってはならない事です。 従って、知財戦略の有無は企業によって異なりますが、知財を意識した経営は、全ての会社で必須になると思います。

例えば、近年、他社の知的財産権を尊重する事を、経営基本方針に含めている会社もあります。
この様に、知財戦略の中には法令順守の視点でも重要になります。忘れない様にしましょう。

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Q4. 特許出願を「戦略的」に実行するとはどういう意味ですか?
[A4]
一般的に「戦略的」という言葉を「計画的」と置き換えれば分かり易いと思います。計画的であるためには、出願までにしっかりと準備をしなければなりません。マクロ的には、年度の研究開発予算又は権利化予算が確保され、大まかな出願目標件数が設定されていることが重要になります。

また、ミクロ的には、各アイデアの出願タイミングも計画的でなければいけません。そして、海外出願を含めてどの国で守るべきか、これからの成果は将来どのように活用するのか、競合他社のアイデアはどのようなレベルかなど、出願時にも様々な準備が考えられます。しかし「戦略的」に出願するためには、相応のコスト(労力)も必要です。どこまで戦略的に実行するかは、企業によって、企業の成長レベルによって差があります。

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Q5. 特許情報を経営に活かすには、何をしたらいいのですか?
[A5]
リスクマネジメント、法令順守等の視点では、他社の先行権利の調査が重要になります。 他人の知的財産権を侵害しない事により、経営リスクを回避出来るからです。

また、事業計画や研究開発計画を策定するにあたって、整理された特許情報を参考にする事もあります。 この整理された特許情報を、一般的にパテントマップといいます。

パテントマップは、技術マーケティング情報の一種です。 しかし、「売れるか売れないか」という内容はパテントマップから判断出来ません。 パテントマップで判断出来るのは、 (1)安全に売る事が出来るのか、 (2)独占的に売る事が出来るのか、 (3)研究開発が無駄にならないか、 (4)他社の開発動向等です。

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Q6. 知財戦略に取り組むにあたっての、注意事項は何ですか?
[A6]
第1に、長期的な視点を持つ事と、知財戦略の成果イメージを予め理解しておく事です。
知財活動は、殆どが人的活動であり、且つその効果が具体的な数字に反映され難い(一般的にはコストが増大する)という特徴があります。 また、特許の場合、権利取得に1年以上掛かるのが一般的ですから、短期的な成果を挙げる事が難しいものです。 短期に「金銭的成果」を期待すると、結果が出ないまま中断する事になります。 つまり、知財戦略に対する評価基準は長期的に考える必要があります。

第2に、予算について検討する必要があります。 知財活動は人的活動なので、知財戦略を強化するには、人を動かす為の予算が必要です。 また、特許調査等の場合は情報料が必要です。また、特許出願にも費用が掛かります。

第3に、上記知財予算と機会損失のバランスを考える必要があります。 もし知財戦略を実行しないと事業機会を失う可能性がある場合、その機会損失の範囲内で知財予算を策定する事になるでしょう。 つまり、機会損失よりも大きな知財予算はバランスが悪い事になります。 機会損失以上に知財戦略予算が必要だとすれば、それは知財戦略の立て方がおかしいのか、或いは事業の収益率がそもそも知財戦略を実行出来ない程度に低過ぎる事になりますので、事業構造自体を見直す必要が出て来ます。

最後に、人材について考える必要があります。 可能であれば、知財部を設立し、専門人材を育成する必要があります。 また知財活動の規模に応じて人員を補充する必要があります。 また、社内の人材を最小限に止めたい場合、業務分担を明確にして外部にアウトソースする事も考えられます。 知財部を立ち上げる場合は、初期期間(例えば2年〜3年)は、コンサルティング会社に立ち上げ指導を依頼する事も考えて下さい。

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Q7. 知財を管理するには、具体的にどうしたら良いのでしょうか?
[A7]
知財の管理には、大きく2種類あります。
(1)開発成果(開発者)を管理する事と、(2)権利化手続きを管理する事です。

開発成果を管理するには、開発者と特許担当者の間で定期的なコミュニケーション機会を構築する必要があります。 また、研究成果を書類に落とし込む(目に見える形にする)必要があります。 権利化手続きを管理するには、エクセル等を利用した管理表や専用の管理システムを導入して、各種手続き期限を管理し、各種書類を特許庁に確実に提出する体制を構築しなければなりません。各手続には必ず意思決定が伴いますから、意思決定の仕組みも導入する必要があります。自社で全てを実行するのが難しい場合、特許事務所を有効活用する事が大切です。

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Q8. パテントマップとは何ですか?
[A8]
パテントマップとは、複数の特許を目的を持って整理し、視覚的に見易くしたものです。
パテントマップの一部は特許庁のHPにも掲載されています。参考にして下さい。

リンク:特許庁・技術分野別特許マップ

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Q9. パテントマップは、どの様に利用したら良いのですか?
[A9]
パテントマップの目的は多岐に亘ります。 大切なのは、先ず作成目的を明確に定義し、それからパテントマップの作成に着手する事です。 作成目的は、下記の視点を重視して下さい。

(1)誰の為に
(2)何の検討・把握する為に
(3)どの様なアウトプットが必要なのか

例えば、その答えはパテントマップから得られない場合は他の方法を検討する必要があります。仮に、

(1)経営者の為に、
(2)5年度の完成を目標にした新商品を検討する為に、
(3)現在の関連技術の存在を一目で理解出来る様にする
という場合、過去10年間の技術動向が人目で解る技術体系型のマップを作成する事になります。

只、経営者に長年の業界経験がある場合は、頭の中に技術体系が描かれている場合が多いでしょう。
しかし、最近の動向を知りたい場合には、期間を絞って検討する事も大切です。
特に、新市場に参入する場合はこの様な調査が重要になります。

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Q10. 競合他社の動向分析に、特許を利用出来ますか?
[A10]
競合他社が積極的に特許出願している場合は可能です。
競合他社の特許出願を入念に調べることで、研究開発動向を調べる事が出来ます。
尚、特許出願から出願公開まで、1年6カ月の遅れがありますので、直帰1年6ヶ月の動向は残念ながら分かりません。 しかし、基礎研究を必要とする製品については、通常、製品化までに少なくとも数年を要しますので、市場に製品が出る前に特許情報から開発動向をキャッチする事が可能です。

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Q11. 知財戦略を実行する部隊(知財部)は、どの様に準備すれば良いのですか?
[A11]
(1)先ずは人材を確保する事です。 大切なのは、本人にやる気があるか否かです。 また、適材は、地道な活動をコツコツと実行出来る根気のある人だと思います。

(2)知財戦略を練りそれが知財部に託された任務になります。 その後、事業計画に基づいて具体的な実行計画を策定し、年間スケジュールに落としこみます。

(3)知財活動は、知財部だけでは無く企画部や研究開発部が行う事項がありますので、関係部署の間で横断的な調整を図ります。 この時に、知財部は新しい組織ですから、まだ信頼されるに至っていません。 そこで、経営陣が率先して参加して知財部を支援し、調整を図るのが成功の否決です。

(4)知財活動のマニュアルを整備すると共に、各活動で必要なルール策定、書類(フォーマット)策定を行います。 このマニュアルに沿ってOJTを繰り返していきます。半年から1年後に、マニュアル通りに知財活動が実践されているか監査(検証)を受ける事も大切です。

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Q12. 知財部の活動を教えて下さい。
[A12]
知財行動計画・年度予算の策定、実行項目の策定及び実行、研究開発部署との連携活動、特許庁に対する各種手続、特許調査、訴訟・ライセンス交渉等の渉外活動等、多岐に亘ります。

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Q13. 知財戦略にて、経営者が実行するべき事柄を教えて下さい。
[A13]
知的財産の基本方針を策定する事です。
その他、行動レベルでは、職務発明の認定、出願可否の承認等も行う場合があります。
Q14. 研究開発に着手する前に、やっておくべき知財活動を教えて下さい。
[A14]
研究開発に着手しようとしている対象の技術分野について、過去の特許出願の状況を調査する特許調査を実施します。 この特許調査の結果を上述のパテントマップ等を利用して整理する事により、競合他社が同様の技術分野を研究開発の対象としているか、またはその研究開発の進捗状況等を知る事(予測する事)が出来ます。

この特許調査の結果に基づいて、研究開発すべき対象の技術分野を再考する事により、無駄な研究開発を回避し、研究開発費用の効率的な運用が可能になります。

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Q15. 特許調査はどうやるのですか?
[A15]
特許調査は、研究開発に着手する前に実施する事が有効です。
特許調査を実施する前に用意すべき事項を以下に記します。

(1)研究開発の対象となる技術分野・技術用語(特許国際分類項目)の抽出
(2)競合他社となる会社名(または個人名)の抽出
(3)調査期間の設定

以上の(1)〜(3)の事項を用意した後は、社内の特許データベース、または外部の特許データベース(特許庁電子図書館等)を利用して、用意した事項からキーワード(技術用語、特許国際分類項目、出願人(会社名または個人名)、出願期間(調査期間))を設定して、特許調査を行います。

但し、特許調査には、経験とコツが必要です。自社に知財部門がある場合は、知財担当者に相談する方が良いでしょう。 自社に知財部門がない場合は、外部の特許調査会社、特許事務所や弁理士等に相談する事を勧めます。
尚、特許調査を知財担当者や外部に相談する場合であっても、上記(1)〜(3)の事項を事前に用意しおけば、作業を効率的に進める事が出来ます。

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Q16. 海外の特許出願はなぜ必要なのですか?
[A16]
海外への特許出願は、海外で製品を販売・製造する場合に必要となります。 特許出願の効力は、基本的に出願した国の「国内」でしか通用しません。 ですから、特許出願の対象となる製品または当該製品に利用される技術について、海外で販売・製造する場合は、その対象国に対しても特許出願を行う必要があります。

海外へ特許出願する方法としては、パリ条約に基づく「パリ出願」と、特許協力条約に基づく「PCT出願」があります。 事業戦略または知財戦略等に基づいて、「パリ出願」を行うべきか、「PCT出願」を行うべきかを判断する必要あります。

海外への特許出願は、国内出願に比べて手続きが複雑で費用も嵩みますので、事前に知財担当者、特許事務所、弁理士等に相談する事をお勧めします。

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Q17. 知的財産(知財)コンサルティングとは何でしょうか?
[A17]
知的財産に関する戦略立案や、知的財産部の立ち上げ、知財活動の実行支援等を支援するサービスの事をいいます。

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Q18. 特許事務所に特許出願を依頼する前に準備すべき事項とは何でしょうか?
[A18]
以下に、出願依頼する前に準備すべき事項を記します。

(1)出願対象の技術的特長の抽出
(2)特許調査 出願対象と同様の技術が出願済みか否かを調査する必要があります。
(3)特許調査の結果から出願済みでなければ、従来技術との差異(改善点等)を抽出
(4)出願対象の構成を示す図面

以上の(1)〜(4)を出願提案書として、書面に纏めておく必要があります。
書式は問いませんが、出願件数が多い場合、特許出願を行うべき社員(研究開発者等)が多い場合等は、出願提案書の記載内容を統一化する為、書式を作成する事をお勧めします。 出願提案書の書式を統一化する事により、その書類作成時間や、特許事務所に依頼する際の説明時間の短縮を図る事が出来ます。

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Q19. ノウハウは、どの様に活用したら良いのでしょうか?
[A19]
ノウハウは、特許出願する事により知的財産として活用する事が可能です。
しかし、ノウハウを特許出願すると、特許権として保護されるというメリットがありますが、公開公報として公開されてしまう為、競合他社にノウハウが見られてしまうというデメリットがあります。このため、ノウハウを特許出願するか否かは社内で十分に検討する必要があります。

すなわち、ノウハウとして秘匿した場合に、競合他社から見抜かれやすいか、ブラックボックス化出来るか等を考慮して、特許出願の可否を判断する事が肝要です。 例えば、製造方法に関するノウハウ等は、他社から見抜かれ難い技術である為、特許出願しない方が良い場合もあります。
また、ノウハウを社外に流出させない為には、社内の秘密保持体制を徹底し、後から他社に出願されても先使用を主張出来る様な証拠(例えば、日付入りの製品図面、組織的な伝票管理等)を残す事が必要になります。 ノウハウを特許出願すべきか否か結論が出ない場合は、特許事務所や弁理士等に相談する事をお勧めします。

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